第86話 いきマタ一座の小劇場 『桃太郎』

 

 

 

昔々、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。

 

ある日おじいさんは芝刈りを、おばあさんは洗濯をしていると

川上から大きな桃が、ドンブラコドンブラコと流れてきました。

 

おばあさんはその桃を拾い上げ、おじいさんに「一緒に食べよう」

と言うと、おじいさんは喜んで、早速大きな桃を切り分けることに

しました。

 

 

 

 

おじいさん:

「うおおおりゃああぁぁ!!」

 

 

 

 

どっごーーーん!!

 

 

 

 

おじいさんの乾坤一擲が炸裂し、桃は木っ端微塵に

はじけ飛びました。

 

すると驚いたことに、

 

 

桃の中から血まみれの桃太郎

が出てきたではありませんか!!

 

桃太郎:

「・・・たかだか桃切るだけなのに、なんでそんな

 渾身の力で斧振るかなこのジジイは!!><ノ」

 

 

台本にない、おじいさんのダイナミックな桃の切り方のせいで

いきなり三途の川を渡りそうになった桃太郎のクレームを

あっさりと無視し、おじいさんはこう言いました。

 

おじいさん:

「桃から生まれた桃太郎よ。今日からお前は私達の子だ。

 さて早速だが、鬼退治に行ってこい。

 

桃太郎:

「早っ!!@@;」

 

 

 

こうして、異常に人使いの荒いおじいさんの命令により

桃太郎は鬼が島へ鬼退治に行くことになりました。

おばあさんからお弁当のきびだんごを貰って、さあ出発です。

 

 

桃太郎:

「むっかし〜むっかし〜♪ うらしまは〜♪」

 

 

かなり大間違いな鼻歌を口ずさみながら、

桃太郎は鬼が島へ向かって歩きます。

 

そこへ、遠くから一匹のイヌが桃太郎の方に駆け寄ってきました。

 

 

イヌ:

「ももたろさん、ももたろさーん♪

 お腰につけたきびだんご、一つ私にくださいな〜♪」

 

 

桃太郎は、ちょっと首をかしげました。

イヌというにはビジュアル面にちょっと無理があるような気がします。

でも、冒険物語の主人公はそんな細かいことは気にしないものだと

自分に言い聞かせました。

 

そして、きびだんごをあげるかわりに鬼退治を手伝うよう頼みました。

 

 

 

 

 

 

桃太郎:

「断るなあぁぁヾ(`Д´)ノ"」

 

 

 

 

台本通りに動かないイヌに、桃太郎もぶち切れです。

このイヌは、とりあえず何でもNoと言ってしまうという

悪い癖があるようですが、あらためて説得を受け、鬼退治を手伝うことに

なりました。

 

桃太郎とイヌは、さらにずんずんと進みます。

すると今度は、サルが桃太郎達の方に駆け寄ってきました。

 

 

 

 

 

サル:

「ももたろさん、ももたろさーん♪」

 

 

 

 

 

 

桃太郎:

 

「うらぁ!!」

 

 

 

 

桃太郎はいきなりサルをぶっ飛ばしました。

配役のあまりな無茶っぷりに腹が立ったのか、

はたまた、いつしか身に付いた単なる習慣なのか。

 

しかし、何故か妙にやられ慣れてるサルは、それでもくじけずに

自分のセリフを続けました。

 

サル:

「お腰につけたきびだんご、一つ私にくださいな〜♪」

 

 

 

 

桃太郎:

「誰に向かって

 物せびっとんじゃコラァ!!」

 

 

 

 

 

サル:

「ぼっちゃん、これは劇ですから・・・(ノ◇≦。)」

 

 

結局サルは、きびだんごはもらえませんでしたが

強制的に鬼退治に同行することとなりました。

 

桃太郎、そしてイヌとサルは引き続き鬼が島へ向けて歩きます。

そこへ今度は、一羽のキジが現れました。

 

 

キジ:

「ももたろさん、ももたろさーん♪

 お腰につけたきびだんご、一つ私にくださいな〜♪」

 

 

 

 

 

サル:

「おおっなんて可愛らしい子なんだ!!

 私はサルですよろしくキジさん!!

 まずは貴女の住所メアド趣味好きな男性の

 タイプスリーサイズその他もろもろ教えt

 

 

 

桃太郎:

 

「黙れ」

 

 

 

 

 

 

またまた豪快にすっ飛ぶ、懲りないサル。

 

ともあれ桃太郎はきびだんごを渡し、キジにも鬼退治を手伝って

もらうことになりました。これで4名揃い、準備は万端です。

いざ鬼が島へ!!

 

 

豪華客船で鬼が島へ向かう、桃太郎たち。

いよいよ鬼との対決の時が迫り、桃太郎達の間に緊張が走ります。

 

鬼が島へ到着すると、桃太郎たちを待っていたかのように、

早速そこに鬼がいました。

 

 

 

 

鬼:

「なんだおまえたちは。この鬼サマに逆らおうというのか?」

 

 

その鬼は、とても見覚えのある顔でした。

 

 

桃太郎:

「・・・いや、そんなことよりとりあえず・・・

 あんた、おじいさんだろ?」

 

鬼:

「何を言っておる、私は鬼だ。いいか、私ほどの

 名俳優になれば『一人二役』ということも可能なのだ。

 この演技力が目に留まれば、アントンズインのFLASHの

 次回作主演も夢ではないな、はっはっは♪」

 

 

鬼は、よくわからないことを口走りました。

しかし彼は、忘れているようです。

『桃太郎』における鬼は、やられ役だということを。

 

 

 

桃太郎:

「やっちまえーーー♪」

 

 

 

 

 

 

ぼか!!

 

どか!!

 

べき!!

 

ぐしゃ!!

 

 

鬼:

「ぬおっ・・・やめ・・・ぐえっ!!

 HORNET、貴様何をっ・・・!!」

 

サル:

「HORNET? 誰ですかなそれは?

 私はサル。一介のサルですよ。うらうらうら!!ヽ(゜▽、゜)ノ」

 

 

どごっ!!

 

めきゃっ!!

 

ぐりぐりぐりっ!!

 

 

 

 

桃太郎達は、完膚なきまでに鬼をやっつけました。

特にサルはまるで日頃の恨みを晴らすかのような

気合の入りっぷりでした。

 

 

 

 

鬼退治を成し遂げた桃太郎たちは、意気揚々と家に帰りました。

家では、おじいさんが出迎えてくれました。

 

 

おじいさん:

「おかえり、桃太郎。

 よくぞ鬼を退治してくれやがった。」

 

 

おじいさんは、なぜか顔が怒りのアフガンモード

なっていました。

しかも、まるでついさっき袋叩きにされたかのように

体はアザだらけです。

 

 

おじいさん:

「・・・今日は、頑張ったおまえたちの為に、とびきりのご馳走を

 用意してやろう。新鮮なサル鍋だ。」

 

 

 

サル:

「・・・へ? サル鍋?」

 

 

 

 

 

 

おじいさん:

「待てゴルアーーーーー!!

 バラバラにして鍋に放りこんだるぁーー!!」

サル:

「ひいいいいいーーーーーー!!><;」

 

 

 

 

 

こうして桃太郎とおじいさんとおばあさん、そしてイヌとキジは

その後一緒に、末長く幸せに暮らしましたとさ。

 

え? サル? サルはs(自主規制)

 

 

 

めでたし、めでたし♪

 

 

 

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