第13話 父、帰る

 

 

 

 

こんにちは、街で見かけた看護婦セルシーさんに惚れて

陰からそっと眺め続けているストーカーSTINGです。

 

数多くいるNPCの中で、なぜこのセルシーさんがいいのかって?

 

だってセルシーさんって、セクシーっぽいじゃないですか。

(いや、名前が似てるだけやん)

 

 

 

とまあ、自分が転職したことも忘れんばかりの勢いで相変わらず

お気楽街道まっしぐらな僕ですが、そんな平和な生活を切り裂くかの

ように現れた男がいます。

 

 

 

???:「おーいSTING、帰ったぞ〜!!」

 

 

 

 

 

僕の父親、BUZZ(バズ)です。

 

 

この人は、母親が夜逃げするくらいろくでもない遊び人な父親で、

その不良っぷりといったら、

夜の校舎窓ガラス壊してまわったり

盗んだバイクで走り出しちゃったり

するくらいのオザーキー状態で、もう手がつけられません。

 

そんなダメ親父が、今さら何をノコノコと帰ってきたのでしょうか?

 

 

BUZZ:「バカモン、人聞きの悪いこと言うな!!

      私は生まれ変わったのだ!! Profを見てみろ!!」

 

 

 

 

 

い、医師ぃ!?

 

 

 

しかも「敬虔なる技」とかいってるし・・・

あの親父が・・・・信じられん・・・

 

 

BUZZ:「もう治療の腕前はR4まで到達したし、もはや

      いつでも見習いが取れるぞ。

      頑張って修行したからな。

      なに、どんな修行をしていたか知りたい?

      そうか知りたいか。うんうん、じゃあ教えてやろう。」

 

・・・というわけで、強制的に回想シーン突入^^;

 

           ◆

 

           ◆

 

           ◆

 

 

BUZZ:「よーし、今日からお前は私の使い魔だ。

      共に頑張ろうな!!」

ゴブリン:「はい、BUZZ様^^

      ・・・でも、なんか僕の名前、変じゃないですか?

      実験台って何ですか?

 

BUZZ:「気にするな。深い意味なんかない。

      いま一番トレンディーで、ナウなヤングにバカウケな

      名前なんだ。そんなことより、さっそく戦いに行くぞ。」

ゴブリン:「はいー♪」

 

 

 

 

ゴブリン:「よーし、頑張りますよー。

      見ててくださいねー!!」

BUZZ:「うんうん^^」

 

 

 

 

 

どがっ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぎゃーーーーー><;」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴブリン:「・・・はっ、僕は一体・・・?」

BUZZ:「おとなしくしてろ。

      今、治療してやるからな。」

ゴブリン:「あ、ありがとうございます。

      でも、今なんか・・・

      後ろから斬られたような気がしますが・・・」

 

BUZZ:「そんなわけないだろ^^;

      よし、治療終わり。スキル経験値GET♪

      じゃあ、もう一回戦いに行くぞー。」

ゴブリン:「あ、はい・・・

      でも、僕、後列に立ってもいいですか?」

BUZZ:「ん? 別に構わんが・・・」

ゴブリン:「あ、敵だ!! よーし、頑張るぞー!!」

 

 

 

 

 

ごしゃっ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あきゃーーーーー><;」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴブリン:「・・・・がはっ・・・・・」

BUZZ:「しっかりしろ実験台10号。

     また治療してやるからな!

     いやーしかし、手ごわい敵だった!!」

 

ゴブリン:「・・・いやあなた、いま明らかに

      振り向いて斬ったでしょ!?

 

BUZZ:「そんなわけないだろう^^;

      恐怖で幻覚を見たんだなきっと。

      よし治療終了、スキル経験値GET♪

 

ゴブリン:「もしかして実験台って、治療スキルの実験台・・・?」

BUZZ:「ほら、次行くぞ〜♪」

 

ゴブリン:「嫌ぁぁぁぁぁ〜〜><;」

 

 

 

          

 

          ◆

 

          ◆

 

 

BUZZ:「とまあ、こんな感じで、今までの患者の9割9分は

      自分の使い魔だったな。

      まあ私の斧は、敵を倒すためにあるんじゃない。

   

       患者を作るためにあるのだ♪」

 

 

 

 

うーん、なるほど。鬼ですねあなた。

「10号」ってのは、そんなことばっかりやってるから使い魔にも

逃げられまくって今が10匹目だから、ということか。

 

で、今みたいに使い魔を怪我させては治療し、怪我させては治療し

の繰り返しで、医師としての腕を磨いたわけですね。

 

 

 

 

でも、突っ込んでいいですか?

 

 

 

 

それって獣医じゃないの(爆)?

 

 

 

 

 

HORNET:「おお、ご主人様!おかえりなさいませ!!」

 

BUZZ:「おお、HORNETか。元気そうだな。

     靴職人としての腕は磨いておるかな?」

 

HORNET:「はい、まずまずです。危なく、探偵に転職

        させられそうになったこともありましたが^^;」

 

 

・・・いらんこと言うなジジイ(怒)。

 

 

BUZZ:「む?なんだHORNET、全然レベルが上がってないな。

     装備もろくなもの着けてないようだし・・・

     よし、私と一緒にレベル上げに行くか!?」

 

HORNET:「はい、ぜひにー♪」

 

 

 

 

 

 

というわけで、親父と一緒に出ていったHORNET。

 

HORNETはレベルなんて上げなくていいんだよなー。

ただ靴だけ作って、稼いだ金を僕にくれりゃ、それだけで

いいんだけどな・・・

 

まあいいや、たまにしかない機会だから、しっかりレベル

上げてこいや。

親父と一緒なら、少々敵が強くても大丈夫だろ。

 

頑張れ、HORNET!!

 

 

 

 

 

 

ぐわしゃっ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ってコラ、クソ親父ー!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

BUZZ:「いや、たまには人間を治療してみたくなってな♪」

 

 

 

親父・・・僕もHORNETにはたいがい厳しい方だと思うけど、

あんたはより直接的にえげつないよ・・・

 

 

 

 

それに、一つ忘れてることがあるよ親父・・・

 

いま見習医師でR4ってことは、見習い取れるまでは

いくら治療してもスキル上がりませんよ?

 

 

 

 

 

⇒ HORNET、無駄死に(哀)。

 

 

 

 

 

HORNET、あきらめろ・・・・

 

おまえをいじめる人間が一人増えただけのことだよ・・・

 

 

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